こちらは【令和6年度 第64回東日本伝統工芸展 入選作品】です。
さらにこの度は「プラチナボーイ」で制作いただいた特別な作品となっています。
工芸展出品作品は、作家の思い入れが別格です。山岸幸一さん入魂の逸品、独特の世界観を存分にご堪能いただける作品です。
>>日本工芸会ホームページでも入選作品として掲載されています(外部リンク)
山形県米沢市、人里離れた山奥で厳しい自然と向き合いものづくりをされる山岸幸一さんの紬は、工房のある地名から「赤崩紬」と名付けられています。
米沢の動織機を主とする機屋に生まれた山岸幸一さんは、手織りの紬に魅了され、草木染の手織り紬に適した場所を求め、28歳の時に、「水」「風」「太陽」が最高の条件で集う、最上川の源流近くの「赤崩(あかくずれ)」に工房を構えられました。
桑畑を耕し蚕を育て、繭から真綿糸を作り、草木染の原料となる植物を栽培し、糸取り、糸染め、機織りまでのすべてをご自身で行うものづくりは、織作家たちからも「究極」と別格の存在とされています。
山岸幸一さんは、創業者・泉二が作品はもとよりその生き方、思想すべてに惚れ込み、人生の師と仰ぐ大きな存在です。
出会いは1995年。泉二が日本伝統工芸展で目にした布のふわりとした風合い、佇まいの清らかさに衝撃を受け、伝手を辿り工房に通い続けてやっと作品を取り扱わせていただいたのは4年後のこと。泉二はあまりの嬉しさに男泣きに泣きました。それから3年後の2002年には初個展を開催し、2021年までに15回を数えるまでになりました。
草木で染めた糸が最も美しくなる年、
その時を待ってから織り上げるため、
山岸幸一さんの作品はすべての工程を終えて反物となるまでに4年から5年もの歳月がかかります。
こちらは、銀座もとじが繭からプロデュースしている極上の純国産蚕品種「プラチナボーイ」の絹糸を用いて、山岸幸一さんに染め織り上げていただいた特別な作品です。
【令和6年度 第64回東日本伝統工芸展 入選作品】
「流れ星」と題されたこちらの作品は、藍染による落ち着いた藍色を基調とした地に、白糸がまさに流れ星のように走る物語のあるデザインです。
※寒染(かんぞめ)…寒中に染める技法は『冷染』と呼ばれますが、山岸幸一さんは煮染をせず冷染にて制作した作品に『寒染』という名称を付けています。紅花を冷染して作られる『寒染紅花』は山岸幸一さんの代表作です。
ふっくらと包み込まれるような心地よい風合いは、 すべてを最大限に求めた山岸幸一さんの紬だからこそ。 一般的な球形糸ではなく、「扁平糸」と呼ばれる、内部が空洞状態で断面が楕円のような形の糸を使用することで、手機で織ると適度な歪みが生まれ、長く着用するうちに体にさらに馴染んでいく感触が楽しめるのも大きな魅力です。
山岸幸一さんの究極のものづくりから生まれた、究極の紬をぜひご堪能ください。
山岸幸一さんについてはぜひこちらをご覧ください
>>【泉二弘明ロングインタビュー】男が惚れる男-山岸幸一先生のものづくり
>>【お客様の声】私たちが伝えたい山岸幸一さんの作品の魅力
関連記事
【和織物語】「志を織る~山岸幸一の紬織~」著者:外舘和子(多摩美術大学教授)
【和織物語】「山岸幸一 - 生命の色~ひたむきに生命の美を求めて~」著者:田中敦子(工芸ライター)
【工房見学レポート】「紅花餅作り」
【工房見学レポート】「寒染紅花」
【作家産地】「山岸幸一」
関連動画 公式YouTube
【インスタライブ】山岸幸一さん×店主泉二弘明
2021年工房と生中継配信したインスタライブ
夕方16時「紅花餅から染料作り」 / 翌朝4時「寒染」 / 翌朝6時「寒染」
プラチナボーイについて
【プラチナボーイ】は37年かけて日本の研究者が開発した、世界で初めてオスだけの繭から作られた特別な絹。銀座もとじが繭からプロデュースし、すべての商品に作り手たちの詳細を記し、履歴のわかる“純国産”のものづくりを進めています。2015年には『農林水産大臣賞』を受賞。その開発から、養蚕、製糸、染織、着物につくられるまでを追ったドキュメントは一冊の本『天の虫 天の糸』に綴られています。
【銀座もとじの挑戦】プラチナボーイ
【和織物語】プラチナボーイ物語「天からの贈りもの」