綴れ織の人間国宝 故・細見華岳さんのご長男、細見巧さんの“爪掻き本綴れ”の夏の八寸帯です。
“爪掻き”とは、綴れ織を制作する際に、その織り目の糸を、ギザギザに削った爪でたぐりよせるようにして、ひと目ひと目、整えていく技法です。職人さんは毎朝、中指と薬指など2本の指の爪を糸の細さに合うように削って、織りをはじめます。ひとつひとつを丁寧に、ミリ単位の仕事を進めていく。綴れ織はたて糸をよこ糸で包んで、階段状に織り上げていく技法なので、その爪の力加減ひとつで線状美が決まるといいます。
根気と長年の勘からくる力加減。本物の綴れ織は想像すると気が遠くなるような、高い技術の職人技が必要です。
こちらは、上品な生成り地に、大人の色気を感じさせる赤紫と金糸で霞が織りなされた優雅な一品。金糸が入ることで高級感が高まります。
春単衣や盛夏の訪問着、付下げ、色無地、江戸小紋、格高めに着こなす小紋に合わせて。