主な色糸:銀鼠濃淡×山吹色×珊瑚色×紅
※『寒染』・・・山岸さんが織り上げた織物作品の名称で、冷染技法にて煮染をしない染め方で織り上げた山岸さんの織物にこの名称を付しています
山岸幸一さんについて
色が生きている。それが草木染めです。
「水」「風」「太陽」が最高の条件で集う場所を求め、現在の地、赤崩にたどり着いた山岸さん。 草木染めの染料を得るために、一木一草の花・実・樹皮・幹・根を自らの工房のかたわらで育てる、 その数なんと50種類以上。山岸さんはさらに追求をし、なんと蚕までも育て、 現在では、養蚕、糸取り、草木の栽培と染液の抽出、染め、織り、全ての工程を手がけています。
紅色を作る紅染め、藍色を出す藍染め。紫を染める紫染め、茜色を染める茜染め。 紅は、紅花の花びらの中の、藍は、藍の葉の中の色素、紫は、紫草と云う草の根、 茜は茜草の根のそれぞれの色素を以って染める。その植物の四季の一番節にあった時に、 山岸さんは、糸にその植物の生命を糸の芯まで染め託すように、深く、濃く、染め上げています。
糸は経糸緯糸ともに、生繭を灰汁水に漬けて低温から煮上げ、絹綿状にして、手引きにより 空洞状の糸にしたものを、植物染にして幾度も(何年も)染重ね、さらにその糸が最も 美しさを放った年、その時を待ってから織り上げます。 そのため、山岸さんの作品はすべての工程を終えて反物となるまでになんと4年から5年もの歳月がかかるのです。
山形県の母なる川最上川源流、白布高湯の麓に位置し、 良質の自然流水に恵まれた小さな山村にて、自然と対峙して作り上げた生命が宿る本物の染織物です。
「自然に甘えて流されてしまってはだめだ。自然のリズムに自分の感覚を合わせながら、世の中の動きを見据え、対比するからこそ、ものづくりができる」と山岸さんは言います。
「作家としてのこだわり」ではない。 「自然と対峙する」ことで生まれてきた山岸さんの純粋でひたむきなものづくりの姿勢。 出来上がる作品の美しさ、色のセンス、生地のふっくらとした質感、 暗闇で浮かび上がる草木染めならではのほのかな発色、 自然から生まれた草木染めの色が人間の肌の色と呼応し、美しく見せてくれる様をご覧になればきっと、 この染織物を手にできたことに、大きな感動を覚えていただけるはずです。
※山岸幸一さんについては、以下リンク先にて、ものづくりにまつわるさまざまな記事をご案内していますので、ぜひご覧ください。写真もたくさんご紹介しています。
「山岸幸一さんからのメッセージ」
【作家産地】「山岸幸一」のご紹介はこちら
【作家産地】「山岸幸一」に関する記事一覧はこちら
【工房見学レポート】「紅花餅作り」はこちら
【工房見学レポート】「寒染紅花」はこちら
※『春来夢(しゅんらいむ)』黄金繭色素染 商標登録4644489号 平成15年2月14日
※『寒染(かんぞめ)』 商標登録2555301号 平成5年7月30日