『斑錦(はんきん)』
地色に数色の縦縞が織り出され、その縞模様に重なるように文様が表現されているのが斑錦の特徴ですが、こちらの「四つ割菊」は地色が黒糸一色で織りなされた珍しい作品です。落ち着きのある質感は、やわらかものはもちろんのこと、上質な紬や絵羽紬にも最適です。
袋帯「斑錦 四ツ割菊」
斑錦でありながら、地が多色でなく、黒糸一色で織りなされた珍しい作品です。こちらは京都国立近代美術館での北村氏の展覧会でも展示されました。おだやかな白と白ねずの菊を四つ割りに繋いだ端正な意匠に、極細い金糸がわずかに織り込まれ、さりげなく上品な煌めきが浮かびます。背景は細い糸でマットな質感を感じさせますが、装飾は少し太目の糸使いでふっくらと立体的な織表情となり、奥から浮かび上がるような美しい陰影が演出されています。
人間国宝 北村武資
1995年『羅』/ 2000年『経錦』 重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
1935年京都市生まれ。15歳から西陣で織物を学ぶ。古代に発展し途絶えた織り技法を独学により復元し、日本国内染織作家の中で唯一、2つの技法で重要無形文化財保持者に認定。1996年紫綬褒章、2005年旭日中綬章 受章。
【作家産地】「北村武資」のご紹介
【和織物語】「深遠なる空間の美―北村武資の織」