日本工芸会正会員、染織作家・海老ケ瀬順子さんの大変希少な絵羽作品のご紹介です。
こちらは、
【平成29年 第46回日本伝統工芸近畿展 入選作品】でございます。
工芸展出品作品は、作家の思い入れが別格です。土屋順紀さん入魂の逸品、独特の世界観を存分にご堪能いただける作品です。
日本工芸会ホームページでも入選作品として掲載されています(外部リンク)
海老ケ瀬順子さんの代名詞ともいえる「穀織(こめおり)」。
草木染めの澄んだ色彩が光に透けて、細やかな飾り織りの模様が涼やかなリズムを奏でる、極上の夏の薄衣です。
染め織りは勿論のこと、紋紙製作、綜絖、筬通し、ふるえも全て手掛けられ、一年に制作できるきものはわずか5枚。
私どももなかなかご紹介の機会のない、奇跡のような美しさを湛えた作品でございます。
作品名:『光のパイプオルガン』
草木染料ならではのやわらかく透き通るような色合い。
涼やかに風をはらむ薄い布地に、計算を尽くした彩りの妙と繊細な穀織模様がただならぬ風格を漂わせます。まるで幾重にも重なるような幻想的な美しさに、思わず引き込まれずにはいられません。
キラキラとした夏の光が似合う、風通しの良い絹布。まるで羽衣を纏うような、極上の夏衣をぜひご堪能ください。
海老ケ瀬順子さんについて
海老ケ瀬順子さんと穀織との出会いは、人間国宝の北村武資さんに師事されていた修行時代。 北村哲郎著の「日本の織物」に記されていた織物に魅せられたのをきっかけに「穀織」の世界へ入られたとのこと。 以降30年以上にわたり「穀織」ひと筋に、素晴らしい作品を発表し続けています。
文様が米粒を並べたように見えることからその名が付けられたと言われる「穀織(こめおり)」は、 「紗」の技法から変化した「搦(から)み織」の一種と言われ、 その昔、公家や神官の装束として用いられた、歴史ある織物を起源としています。
1978年 女子美術短期大学 服飾科卒
1978年 富山県 光徳寺(民藝協会の紬織工房を持つ寺)入門
1980年 北村武資氏(羅・経錦 重要無形文化財保持者) 師事 (~83年)
1983年 海老ヶ瀬工房設立
2006年 第35回日本伝統工芸近畿展 教育長賞 受賞
2007年 第36回日本伝統工芸近畿展 日本工芸会 近畿支部長賞 受賞
2010年 第44回日本伝統工芸染織展 東京都教育委員会賞/日本工芸会 正会員認定
2011年 第40回日本伝統工芸近畿展 日本工芸会賞 受賞
2011年 第45回日本伝統工芸染織展 日本工芸会会長賞 受賞
2013年「銀座もとじ」 海老ヶ瀬順子展
2016年 第63回日本伝統工芸展 文部科学大臣賞 受賞