こちらは珍しい「広巾」の「無地」の黄八丈です。
こぶな草(八丈刈安)で染められた目の覚める鮮やかな黄彩が大変印象的です。
個性的な色味ですが、裄の長い男性にも楽しめる生地巾がございますので、ぜひオリジナリティあふれる着物姿を楽しんでいただきたい一品です。
山下芙美子さんについて
八丈島で代々黄八丈を織る山下家。 四代目となる山下芙美子さんは、お母様の故・山下八百子さんが柳悦博氏に師事された後に開設された「山下め由工房」を引き継ぎ、伝統を受け継ぎながらも、現代の街並みに合う洗練された黄八丈を作られています。
「黄八丈」について
黄八丈は伊豆諸島の一つ、八丈島で織られている織物です。その歴史は古く800年以前から納税品として収められておりました。八丈島の名は「八丈織」から取られたとも伝えられています。東京生まれの黄八丈は1948年に東京都の無形文化財に指定されました。
黄八丈は生糸で織られた植物染め、手織りが特徴の織物です。その輝く黄色の格子模様は江戸時代庶民の間で大変流行しました。輝くばかりの黄色を生み出すのは「こぶな草(八丈刈安)」です。他に鳶色は「まだみ(たぶの木)」、黒は「椎」から染めだします。最近では昔ながらの黄色の格子のほかに、現代の街並みや洋装の中でも引き立つ鳶色や黒色の色目も人気で多く織られています。
また黄八丈は平織のほかに独特の織り模様を作り出す綾織も特徴の一つです。綾織は光を反射して美しい光沢を出すと共に、身体に添うしなやかさと長い使用に耐える強さを備えます。その綾織の数々は、「めかご」「まるまなこ」「市松織」「本高貴(ほんごうき)」「風通崩し(ふうつうくずし)」「足高貴(あしごうき)」と言われ、複雑なものになりますと今では数人の方しか織る事が出来ず、貴重なものとなっています。