親愛なるものへの細やかな配慮
一本の糸は艶めき、一色は輝く
草木の旋律よ、あなたへ届け
こちらは雑誌【美しいキモノ2021年冬号】の142ページに静物撮影で掲載されたお品です。誌面ではコーディネートでご紹介いただいています。現状は未仕立てとなっております。ご着用には通常の本仕立てが必要です。
染織作家・下井伸彦さんの綾織が美しい紬着尺のご紹介です。
まるで上等のスーツ地のような光沢感。
やわらかな艶めきを放つ生地全体に細やかな「まるまなこ」と呼ばれる綾織模様が光をおびるとそっと浮かび上がる、美しい立体性を感じる着尺です。
お色目は、程よい深みの墨色。濃淡で大きな市松が浮かび上がるモダンなデザインです。
こちらは草木染料が含まれています。
下井伸彦さんならではの絶妙な色加減。草木染めの自然のぬくもりと、現代の街並みに似合うモダンな感性で創作された作品です。ご年齢的にもきっと長くお召しいただけるおすすめ品です。
下井伸彦さんについて
信州・飯田に工房を構える、下井伸彦さん。東京でテキスタイルデザインを勉強された後、お父様をついで飯田に戻り、染織の道へ進まれました。下井さんの工房には、糸繰機から手機まで、製織のためのさまざまな機械が揃っています。染織作家の方でも、これほど糸作りの段階からご自身で取り組まれている方は珍しいことでしょう。糸作り、草木による染色、織りまですべて手掛けられています。
下井さんの魅力は糸からのこだわりだけではありません。微妙な色加減や細やかな部分の柄行のセンスにとても人気がございます。これはテキスタイルデザインを学ばれた時の色の感覚、柄の感覚が今でも好きで、それを生かしているからなのだそう。無地感覚であるのにさりげなく柄を含めたり、微妙なニュアンスカラーであったり、主張を存分にするのではなく、控えめながらセンスの高い仕上がりは、洋装の方も集う現代の着物シーンにも似合う着物です。