草木染織作家・山岸幸一作 草木染め手織紬 天蚕真綿入「深山路」着尺|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

草木染織作家・山岸幸一作 草木染め手織紬 天蚕真綿入「深山路」着尺|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

店主 泉二弘明のおすすめの逸品
草木染織作家 山岸幸一作 草木染め手織紬
天蚕真綿入 着尺「深山路」

今月の店主泉二のおすすめの逸品は、銀座もとじの店主 泉二弘明が今から18年ほど前に、日本伝統工芸展でその丹精で美しく、それでいて力強い作品を目にし、一目惚れをした草木染織作家 山岸幸一さんの着尺作品「深山路」です。

店主泉二は、山岸幸一さんの作品に出会い、それまでに見たこともないような糸の風合い、色の美しさに感動し、どんな風に作品づくりをしているのか知りたいと思い、それから約5年の月日、山形の山岸さんのもとへ幾度も足を運んだのです。5年後、やっと泉二の思いが通じ、店舗で作品を扱わせていただけるようになりました。

山岸幸一さん

山岸さんが手掛けるのは、山形県の母なる川、最上川源流、白布高湯の麓に位置し、良質の自然流水に恵まれた小さな山村にて、自然と対峙して作り上げた、生命が宿る究極の染織物です。

「水」「風」「太陽」が最高の条件で集う場所を求め、現在の地、赤崩にたどり着いた山岸さん。草木染めの染料を得るために、一木一草の花・実・樹皮・幹・根を自らの工房のかたわらで育てる、その草木の数なんと50種類以上。糸の質にも追求するうち、なんと蚕までもご自分で育て、現在では、養蚕、糸取り、草木の栽培と染液の抽出、染め、織り、全ての工程をご自分で手がけていらっしゃいます。

山岸幸一さん
糸は、経糸緯糸ともに、生繭を灰汁水に漬けて低温から煮上げ、絹綿状にし、手引きによって、空気をたっぷりふっくら含んだ真空状の糸にしたものを、植物染にして何年もかけて、幾度も染め重ね、さらにその糸が最も美しさを放った年、糸が機にかかるのにもっとも良い時期を待ってから織り上げます。そのため、山岸さんの作品はすべての工程を終えて反物となるまでになんと4年から5年もの歳月がかかるのです。
「自然に甘えて流されてしまってはだめだ。自然のリズムに自分の感覚を合わせながら、世の中の動きを見据え、対比するからこそ、ものづくりができる」と山岸さんは言います。

「作家としてのこだわり」ではなく、人間界の都合を捨てて、「自然と対峙する」ことで培われてきた山岸さんの純粋でひたむきなものづくりの姿勢には、深い感動を覚えます。

こちらは、おだやかな墨茶地に、薄藍や緑、黄の色糸でごく細い縞模様をなしたひと品。霞のように、すっすっと、天蚕の真綿糸が横に織りなされています。シックな中にも感じる明るさがなんとも絶妙です。

色数を抑えながらも、糸の太さの強弱や色の濃淡のリズムでこうも表情を豊かに織り上がる不思議は、自然の生命力が色となって糸に宿り、力を添えてくれるのに違いないと信じずにはいられません。織の技だけでなく自然のリズムとともに生きる山岸さんの姿そのものが、作品に表れるからこそ、山岸幸一さんの作品は絶大な魅力を放つのだと、実際に手に触れる作品が物語ります。

山岸幸一作 草木染め手織紬 天蚕真綿入「深山路」着尺
草木の恵みを含んだ糸たちの
草木の恵みを含んだ糸たちの深みある彩りと風合いは、強く優しいものに抱かれるような素晴らしさ。自然と対峙する山岸さんの作品はあたたかなため息がこぼれる心地よいぬくもりに満ちています。

来月、2014年2月13日(木)から16日(日)まで、「山岸幸一 生命の色 ~ひたむきに生命の美を求めて~」展を開催予定でございます。
山岸さんのものづくりにかける魂が自然の精たちを作品に呼び込むかのように、自然の恵みの究極の美しさを湛えた素晴らしい作品の数々が届きます。どうぞご期待くださいませ。