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紬ちりめん「天目染め 藤ねず」着尺|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

店主 泉二弘明のおすすめの逸品 紬ちりめん 着尺「天目染め 藤ねず」

今月の店主泉二のおすすめの逸品は、天目茶碗のような味わいある紋様を着物のお柄で実現した「天目染め」着尺のご紹介でございます。独得の技法を用いて染められた味わいある表情と素材感が魅力です。 肌すべりのきれいな素材感は、袷の着物としてはもちろんのこと、羽織にもお洒落ですし、単衣にもお召いただけるお着物です。こちらは染め技法はもちろんのこと、素材にもこだわりが尽くされています。生地には、「紬ちりめん」を用いており、経糸には最高級の布海苔「天菊」が使用されています。生糸に布海苔をつけて織る技法は、近年では殆んど見かけられなくなってきた伝統的な技法です。これは天然の海草である「天菊 布海苔」の漁獲量の減少と、それに伴う価格の高騰、さらにはこの伝統製法には布海苔溶き、乾燥などに大変な手間がかかるため、化学糊が主流になってきています。それでも天然の布海苔を糸につけて織るのは、製造中の糸への損耗が少なく、織り上がりや染め上がりが美しく仕上がるためです。 こちらの天目染めの一番の特徴は、色をつけるという従来の染織とは全く異なる、色を抜き取るという画期的方法にあります。 まず、下染めした生地の上に引き染めをし、それが乾かないうちに、鞍馬の銘水で一昼夜水にさらし、翌日水切りした選りすぐりの京都の北山杉の挽粉を約1~2cmの厚みでむらなく置きます。そして、その下から熱を加え乾かすことにより、挽粉(ひきこ)が染料の色を吸い取り、天目染独特の模様となります。この一連の作業を2~3回繰り返すことにより、より深みを持った色となります。この北山杉の挽粉によって、独得な天目茶碗の味わいのある模様を表現することができます。 天目染めの技術は、大変な熟練を要する手仕事であり、一点一点異なった味を持つ格調高い逸品となっています。 こちらは白生地に、淡いグレー、グレイッシュベージュ、グレー、そして藤グレーを引き染した上に、北山杉の挽粉を置き表現された大変手間暇のかかったお品です。まるでその濃淡は霞が立ち込めているかのよう。お仕立てされると濃淡のリズムが浮かび上がりとてもお洒落な着姿を演出いただけます。 織にも最適なおすすめの一枚。お色はベーシックに、柄のセンスで遊び心を感じさせるこだわりの着物姿をぜひお楽しみください。

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