店主 泉二弘明のおすすめの逸品
白鷹総天蚕糸 紬綾織着尺 「変わり市松模様」
繭の採取は、年1回のみですが、なかなか1年で着尺1反分を織り上げられる天蚕を採ることは難しくございました。大変飼育の難しい希少な繭ですが、なんとか1年で一反分の天蚕を育て上げるべく、「しらたか天蚕の会」の皆さんが、情熱をもって、夢を追い続け約6年がかりで研究を重ね、その思いを成し遂げたのです。

絹のダイヤモンド

天蚕は、大変繊細な繭で、また、サルやタヌキやカラスの好物であるため、それらから希少な天蚕の繭を守りながら、質の良いものに育つように丁寧に管理をしていかなければなりません。どのようにしたら、1年で一反分の天蚕の収穫が叶えられるかを白鷹の天蚕に関わる人々皆で研究を重ね、土壌の改善、木の殺菌、種を繭にしていくための改良改善などを約6年がかりで行ってまいりました。
そして、今年初めて、100%白鷹の総天蚕糸着尺が完成いたしました。完成した天蚕の反物を手にすると、まさに”絹のダイアモンド”です。肌理細かな美しい織上がりは陽にかざすときらきらと眩く、淡く薄黄色にうっすら緑色味を帯びた色彩は、天然の繭の持つすべて自然の色素そのままで、息を飲むような美しさです。

繭から機織りまで、100%白鷹産が実現。
普段は農業(主に果物、葡萄・リンゴ・カシスなど)で生計をたてており、天蚕は副業にもならず時給にすると200円にも満たないのです。夢は語り合いましたが、今年できた天蚕の繭を全て買っていただきたい。というのが6年前の白鷹の方々との出会いでした。それから、1年に1反分の着物を織ることができるように、改良改善を続けその夢が叶った日には、銀座もとじでお客様にご紹介ができるときがくる、ということを白鷹の方々も楽しみにされて、今年やっとその夢が叶ったのです。


羽織を羽織って、パーティーシーンにも
今回ご紹介の天蚕の作品は、光にかざすと浮かび上がる小さな変わり市松模様。綾織ならではのふんわりとやわらかい織の質感と天然の色素による見事な美しい光沢感、また空気をたっぷり含んだしなやかで柔らかい紬の風合いはお召になられる人の肌にもすっと溶け込むような、極上の着心地を味わっていただけます。
紬と言えば、普段着にお召いただくお着物ですが、こちらは無地のおきものですので、角帯を締め、(女性でしたら袋帯)お召などの羽織を羽織って、パーティーシーンなどにもぜひお出かけください。
きっと、お人目にも喜ばれる特別なお着物の装いをお楽しみいただけることと思います。
希少な天蚕糸の自然そのままの命によって織りなされた、木漏れ日のようなやわらかさのきものをぜひご堪能いただけたらと思います。
