藍田正雄作 江戸小紋プラチナボーイ 絽「武田菱」(広巾)|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

藍田正雄作 江戸小紋プラチナボーイ 絽「武田菱」(広巾)|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

店主 泉二弘明のおすすめの逸品
藍田正雄作 夏におすすめ 江戸小紋
プラチナボーイ 絽「武田菱」(広巾)

今月の泉二弘明のおすすめの逸品は、江戸小紋師 藍田正雄氏にプラチナボーイの絽の生地にお作りいただいた、夏におすすめの「武田菱」のお柄の江戸小紋です。武田家の家紋である「四つ割菱」が連なる意匠の「武田菱」を約3mm巾の上品な絽目に染め上げました。「武田菱」は、特に男性の方に絶大な人気があります。そっとくぐもったスモーキーな紺色のお色目も、男性の粋さと上品さをともに感じさせる絶妙な染め上がりの上質なひと品です。

江戸小紋 藍田正雄展 ~極小の美~

2013年4月4日から開催の「江戸小紋 藍田正雄展 ~極小の美~」。
江戸小紋師として60年、その職人魂の凄味が昇華された作品が一堂に会しています。それらの作品のひとつひとつには、息を飲むほどの圧倒的な存在感が感じられます。粋でありながら気品に満ちた、美しく上質さにあふれる江戸小紋の数々、ぜひこの機会にご覧いただけたらと思います。

江戸小紋 藍田正雄展 ~極小の美~

「余白が命」の型紙

「余白が命」の型紙
藍田正雄氏は「型紙は文様で埋め尽くされているのではない、その文様と文様の余白が命」と言います。

現代に生きる江戸小紋に欠かすことが出来ないものは、藍田正雄氏が求める”現代の型紙”です。

江戸小紋の一見無地にも見える繊細な柄は、型彫り師と江戸小紋師の技術と感性の真剣勝負から生まれます。職人としての気持ちが心から通い合い、基本に忠実で確かな仕事をして、初めて、伝承の美意識が受け継がれ、現代へ生かすことができます。型の極小の美を際立たせる染め色の見事な美しさも藍田正雄氏ならではです。
先月の2013年3月16日(日)、藍田正雄氏は、後継者の藍田愛郎さんとともにニューヨークのクーパーヒューイット国立デザイン博物館にて、米国で見つかった古い型紙を基に江戸小紋染めの実演を行ったそうです。江戸時代末期に多く流出した芸術性の高い「伊勢型紙」は、海外では美術品として注目を浴びています。多くの美術愛好家が集まられた、クーパーヒューイット国立デザイン博物館での江戸小紋染の実演は、日本のメディアでも様々に取り上げられていました。

江戸小紋を染めるのに、無くてはならない伊勢型紙。しかし、腕の良い型彫師が減りつつあるという現実。藍田さんが伊勢型紙の産地である鈴鹿市白子町を頻繁に訪れ、型彫師たちと伊勢型紙の技術の継承と発展を考え、本音で向き合ってきたこの10数年。
江戸小紋 藍田正雄「余白が命」の型紙

同じ職人の一人として「次の世代に引き継ぐ為に、何ができるか、何を残せるのか」と考え、型紙の存続にも情熱を注がれています。

銀座もとじ最初のプラチナボーイ作品

2007年の春に誕生したオスだけの繭から紡がれる夢の生糸、新蚕品種「プラチナボーイ」を銀座もとじが商品化のプロデュースを手掛けることとなりました。「プラチナボーイ」の繭から紡がれる糸は、その名の通りプラチナのように美しい光沢を持ち、世界でも類を見ないクオリティの高さを誇ります。その糸から出来上がった白生地を初めて、商品として作品を仕上げてくださったのが、江戸小紋師の藍田正雄さんでした。

プラチナボーイが誕生したこの年、プラチナボーイの白生地を手にした藍田さんは、白生地の質、染料の染み具合、糊の置き具合に驚愕し、「職人としての血が久しぶりに騒いだ」とおっしゃってくださいました。

江戸小紋師の藍田正雄さん

「プラチナボーイの白生地は本当に良い。泉二さんのお蔭で私の小紋師人生で最後の大きな課題が出来たような気がします。親父が引退した年を超えてもやってみたい。大好きな毛万筋を限りなく染め込むことにチャレンジしてみたい。また新しいデザインの型紙を手配して今までに無いものを作ってみたい。時間が掛かるが掛けたら掛けただけ良い物が出来ると思う。待っていてくれますか?」

「武田菱」の型紙に糊置きをする藍田さん
「武田菱」の型紙に糊置きをする藍田さん
そういって、藍田正雄さんが心を込めてプラチナボーイの白生地に染め上げてくださった江戸小紋の作品が、銀座もとじにとっての初めてのプラチナボーイの商品となり、お客様にお届けすることができたのです。あれから6年たった今年、藍田さんがプラチナボーイに染めて下さる江戸小紋の作品は、生地の質感、素材感、光沢感といったプラチナボーイの性質が揺るぎなく、最大限に活かされた確かな手技で、見事な上質感にあふれた美しい仕上がりで私たちの元に届きます。

今回ご紹介の逸品も、熟練の手技を極めた「武田菱」の型紙を用いて、型置きの技による確かな美しい柄行きと、プラチナボーイの丈夫で極細の絹糸の奥深くまで染み込んでいくような美しい染め色に仕上がった極上のひと品です。光沢感の強いしなやかな素材感の心地よい感触とともに、ぜひお楽しみいただけたらと思います。

<藍田正雄さん プロフィール>

藍田正雄さん プロフィール
1940年茨城県生まれ。
小紋師の父・藍田春吉の次男として生まれ、2代続いての江戸小紋の小紋師となる。
15歳から修行に歩き、その修行先は十数箇所に及ぶ。最後の「渡り職人」と言われている。
16年以上に及ぶ修行の末、実家に帰り独立。幾多の苦難を乗り越えて今の技術を得る。
1983年に日本工芸会の正会員となる。
1986年、日本伝統工芸染色展文化庁長官をはじめとして数々の賞を受賞する等、その業績は高く評価され、海外においても小紋の実演等を精力的に行い、わが国の伝統工芸の普及に積極的に取り組むとともに、伝統的な技術を後世に伝えるため、後継者の育成にも力を注いでいる。
1999年群馬県指定の重要無形文化財保持者に認定される。