店主 泉二弘明のおすすめの逸品
プラチナボーイ結城紬 地機 生掛
「ほのかな縞 墨紺」 (広巾)
ふっくらとした手触り。体がつつみこまれるような優しいぬくもり。着るほどに肌になじむ結城紬は、何度もお召しになり、洗い張りをし、そして代々受け継ぎ、その味わいの変化をお楽しみいただける特別なきものです。


「糸の取り方」が特徴的な結城紬
「大島紬やちりめん地などは、繭から直接糸の吐口を見つけて、最初の1本すーっと引きだしてから、糸を紡いでいく『生糸(きいと)』ですが、 結城紬はふやかした繭に指を入れて帽子状に広げたもの(上段落の右上写真)から、少しずつ糸に引いて紡いで作る『紡ぎ糸』(写真右)です。 この『糸取り』がまず最初の工程であり、とても重要なもの。 これが悪いと、凸凹とした生地になったり、製織時の糸切れ、染色時の色ムラとなる要因になります。」
糸取りのポイントは、<平らに均一に引くこと>、<経糸は太く、緯糸は細く引くこと>、<ツバで湿らせて引くこと>。 季節、朝晩、人によっても糸の出来上がりは違います。 それを絣括りする人が、長年の勘で「これは経に」「これは緯に」と使用を決めるのだそうです。1反分の糸取りをするのには、なんと2~3ヶ月もかかるというから驚きです。「生糸」と手間が全然違います。まさに結城紬の命と呼べるのがこの「糸の取り方」だと泉二は強調します。

プラチナボーイによる「糸取り」

繋ぎ合わせると言っても、絣を合わせなければいけませんので、その作業はなかなか大変なものなのだそうです。しかしながら、糸取りのベテランの職人は、経糸が切れても、 神業と呼べるほどの早業で、寸分のくるいもなく繋ぎ合わせる技を持ち合わせています。
けれどそんな職人の方に、プラチナボーイの糸で織り上げていただいたときの感想を伺うと、「とても強いから経糸が切れなくて、大変織りやすかった。思い切って強く打ち込みも入れられたから、”平ら”な生地を作ることができたんだよ。他の糸とはやっぱり違うね。20代は早く織ることばかりだったけど、今は時間もあるからとにかく良いものが作りたい。だから特別な糸を扱えて本当に嬉しかった。」そんな嬉しい言葉が聞かれました。