第67回 日本伝統工芸展にて、松枝哲哉さんの作品が「文部科学大臣賞」を受賞されました

第67回 日本伝統工芸展にて、松枝哲哉さんの「久留米絣着物『光芒』」が「文部科学大臣賞」を受賞されました。(2020年8月26日発表)
松枝哲哉さんは7月にご逝去され、この度の受賞作品は、生前に制作された最後の作品となります。
ご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。

受賞作品は下記ページよりご覧いただけます。
日本工芸会ウェブサイトのトップページより、Informationの「第67回日本伝統工芸展 受賞作品一覧」をクリックするとpdfファイルがダウンロードされます。

日本工芸会ウェブサイト

※2020年9月16日(水)より「第67回 日本伝統工芸展」の作品展示会が全国を巡回し開催されます。


松枝哲哉さんのメッセージ

この5月に松枝哲哉さんに寄せていただきました「一本の糸から 40年の歩み ~今こそ 繋がり~」のメッセージをこちらに転載いたします。

藍の色に白く輝く光の点在・久留米絣である。泉二弘明氏から「絣の輝きはダイヤモンド」とお言葉を戴いたことで、伝統工芸の作り手と纏う人を繋ぐ「銀座もとじ」の存在が心強く感じられ、もとじ様ご一家(スタッフを含むファミリー)の誠意と信頼によって得られる出会いの喜びは大きい。伝統工芸久留米絣の「菊花文」や白絣「井筒」、絵絣「杉木立」や格調を意識した華やぎの「段熨斗目・藤文や鳳凰文」普遍的な「十字絣」等の作品を紹介いただき、お客様に纏っていただくことで、作り手は励まされます。繋いでくださる泉二様に深く感謝するものです。コロナ感染症拡大を受けて、より一層強い心で丹念に制作に挑み、皆様の心が和むと共に健康と幸福感を取り戻せますように希望をもって再会を信じています。

多摩美術大学教授・外舘和子先生の紹介文と率直な語りは、私にとって感動でありました。代々と繋がる仕事、作り続けてきた作品の数々はデザインから織までの緻密な工程のすべてをこなしていくことが当たり前と思っていた私にとっては、一般的には大変稀なことで、全作業を自己完結する力を持てることの意義を高く評価いただいたのです。正直なところ、手仕事がやっと認められて報われた思いです。

36工程の一つである「絵台」仕様による松枝家独創的「絵絣」の技法を次世代に託し、久留米絵絣の歴史と担う手が消えないことを願う。藍染は徳島の「(すくも)」(藍の葉を100日かけて発酵させる国の選定技術保持者製造のもの)を原料に純正天然藍灰汁建て自然発酵建てをする。我が家では1~3番木灰汁を3日かけて作る。藍甕に(すくも)と灰汁を入れて、2~3週間見守る中に水飴や酒の栄養分を入れ、貝灰を加えて㏗管理の手間と心を込めて藍を建てる。発酵屋の仕事である藍建てができて、初めて藍染めが可能となる。日本の染織史に於いて、天然藍は奥の深い藍文化として脈々と生き続けている。

「藍甕に浸して絞るわたの糸 光にかざすとき匂ひたつ」2010年宮中歌会始の儀・預選者 自己完結する久留米絣の手技は長い歳月とその時折の想いを籠める心の結集である。

二つの手で今日も手括りし、染め織りと制作に向き合う。久留米絣の布の力に希望を籠めて明日へと繋がることを願い、皆様の安全と幸せを祈るものです。

令和2年5月吉日
松枝哲哉

【創業40周年記念作品】重要無形文化財 久留米絣「かすりの径」

松枝哲哉さんコメント】
白を基調とする白絣。中藍、みどり、黄、紫、と草木の色は様々に遊ぶ。白い雪は祈りとなって良い事が降りつもる。経絣と経よこ絣の道標が大きな動きで繋がっていく。

作品の詳細はこちら


2013年と2016年には個展を開催させていただきました

2016年トーク会にて、写真左より店主・泉二、松枝小夜子さん、外舘和子さん、松枝哲哉さん、ご子息・崇弘さん。

松枝哲哉さんのご紹介

江戸後期から200年、国産品から地場産業へと安定した生産量を誇り、築後の風土と先人の英知により阿伝絣(幾何文様)、絵絣が生み出され、絣織の表現の幅も広がりました。
その功績を成し遂げた一人である、松枝家・織屋三代目・松枝玉記氏を祖父にもつ五代目・松枝哲哉さんは、
今尚、竹野に構える藍生庵の紺屋場で天然の藍を育て、奥様の小夜子さんと共に手括りの絣を手機にかけ、織り続けています。
澄んだ藍色、心地よい中藍、宇宙をも連想させる深い藍色、機に向かえば作家二人、眼差しの先は藍絣の極限に挑んでいます。
今春、六代目となるご子息の崇弘氏が家業に従事されました。

銀座もとじ和織 2013年初個展、2016年 開催
2015年 35周年記念展・2020年40周年記念展 出品

【プロフィール】 
重要無形文化財久留米絣技術保持者会会員 
(公社)日本工芸会正会員

1955年、福岡県三潴郡大木町生まれ
中学時代より、祖父である人間国宝・松枝玉記氏に藍染めを習い、後に手織り、
手括りを学ぶ。
1979年 重要無形文化財久留米絣技術伝承者 認定
1984年 日本伝統工芸展初入選  以後、入選多数

平成12年 第35回西部工芸展 久留米絣着物「煌」 正会員賞
平成19年 第41回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「晄」文化庁長官賞
平成20年 第42回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「星斗」日本経済新聞社賞
平成21年 第44回西部伝統工芸展 久留米絣着物「唐草文」QAB琉球朝日放送賞
平成22年 第44回日本伝統工芸染織展 久留米絣着物「山椿」日本工芸会会長賞
平成22年 第57回日本伝統工芸展 久留米絣着物「遥光」:日本工芸会会長賞 
平成28年 重要無形文化財久留米絣技術保持者会(染・手括り・織)の保持者認定

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