「ぎゃらりー泉」「和織」「和染」店づくり物語

こだわりの店づくり

銀座四丁目の店舗は、2006年8月、リニューアルオープン致しました。織りの専門店「和織」、染めの専門店「和染」がひとつになり、女性のためのより魅力的な商品提案、コーディネートができる空間になりました。店舗は、二ヶ所に入り口を持つ二店舗で構成されています。
日本各地の織物が全国から集まる織と紬の専門店「和織」、染めの世界できもののクチュリエを目指す「和染」です。入り口は二つの店舗ですが、内部の空間はやわらかく統合された一体空間です。


デザインのコンセプトは「納屋」と「IT」

デザインのコンセプトは「納屋」と「IT」です。
納屋は自然、ふるさと、くつろぎを象徴し、「IT」とは、情報化時代にあって、お客様への最先端のサービスを意図した、テクノロジーを埋め込んであります。
空間演出では、きものという、日本を代表する長い伝統を持つ手仕事であり、工芸作品が美しく輝く舞台を意図してデザインされています。
空間を構成する素材は、できる限り自然の素材と素材の持つ風合いにこだわって選定しています。

16メートルのファサードの上部と柱には瓦が貼られています。日本建築の美しさを象徴する素材の一つです。
この瓦は三河三州の瓦工房で、この店舗のために特別に制作、焼成されたものです。通常の製品のような均一性にこだわらず、土と火の風合いを生かした、いぶし瓦です。

ビッグテーブル

全体の空間のシンボルを意図したオブジェテーブルです。
長さ4メートル、巾1メートルの巨大なテーブルです。素材は栓の一枚板です、国内産の素材としては稀にみる大きなものと言えるでしょう。制作していただいた、四国高松の桜製作所の永見眞一会長は、ご自身の半世紀を越える家具作りの人生でも一枚板のテーブルとしては最大級のものとおっしゃられています。

台座に使われている石は、四国産の庵治石を加工して使っています。一昔前では、これほどの石を加工してテーブルの足になど、考えられない事ですが、加工技術の進歩でできるようになりました。庵治の和泉石材さんならではの仕事です。

 

「たたき」の床

床は、日本の伝統のたたきです。最近では殆ど見なくなりましたが、「たたき」とは長い間、日本建築の玄関や土間に使われた、自然の土をたたきしめた床です。
明治時代にコンクリートが導入されるまでは、建築のみならず、土木工事にも多く使われていた素材です。
ここで使用されている素材は、伝統の自然素材に先端素材の炭素繊維を混入したものを使用しています。
そもそも土の床ですから、自然の風合いのみならず、石材、木材とも一味ちがう、やさしさをもった床です。

「紙子」の壁

不思議な風合いを持った壁は「紙子」が使われています。
古い納屋の錆た土壁の雰囲気を、別な素材で表現してみました。

お水取りで有名な奈良東大寺の修二会で使われる僧衣は「紙子」です。千年を越えて受け継がれてる日本の知恵です。
ここで使用している紙子は、原料の段階で桃皮で先染し、漉き上がった紙をもんで、更にコンニャクのりを敷きます。こうして完成した紙子の上から更に墨で染め上げた素材です。
素材は斐伊川和紙の井谷伸次さんの作品です。染めは仁平幸春さん、
二重の下貼りを経ての経師は、鈴栄経師の鈴木光典さんの手になるものです。

戸襖(ふすま)紙染の四季

比較的色をおさえた店内のアクセントに四枚の襖があります。

和織、男のきものと墨の濃淡で表現した襖を作ってきましたが、初めて色の登場です。
天然染料で染めた手漉の和紙を使って四季をテーマに構成しています。

春に咲く花をイメージした「春」はラック、海をイメージしている「夏」は藍、紅葉の「秋」は矢車附子と茜、そして「冬」は青墨の濃淡で表現しています。

染めは仁平幸春さん、経師は鈴木光典さんです。
素材は土佐の清長紙、もちろん一枚一枚手で漉かれている和紙です。
一見簡単のようにも見えますが、不規則な紙を見事に経師をするのは、とても高度な技術が必要です。
襖の引き手は、もはや定番となった、泉二の出身地でもある奄美大島で大島紬の機織りに実際に使われている杼を加工して使っています。


ギャラリーの展示パネル

柔軟に変化するスペースを意図して、展示パネルも枚数、位置とも自由に移動ができるデザインです。
移動が簡単なように、そして視覚的にも軽く、できるだけ軽量な構造でありながら、必要強度を持たせるという、相反する課題に挑戦しています。
フレームは最先端素材でお馴染の、カーボンファイバーとアルミの組み合わせ。 振れ止めに、自然石の一部をスリット状に加工したものを使っていますが、漬物石のような石は、空間を構成するアクセントも意図しています。

その他、入り口の扉は純木の無垢材で作られた重厚なもので、重さは約100キロの扉です。内部へのいざないと同時に期待を表現しています。店内のアクセントと、様々なイベントでの対応を考えて、インストア・バーを作りました。

常に手入れこそ必要ですが、時を重ねる度に風合いを増し、環境にやさしい、捨てない内装を意図しています。
お楽しみいただければ幸いです。