もとじの活動

“志を織る 山岸幸一の紬織” 40周年記念に寄せて
〜店主 泉二の思いを「信念」に変えた山岸さんとの出会い〜

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織


銀座もとじにて、草木染織作家 山岸幸一さんの個展「40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織」が、2017年2月24日(金)から開催されます。

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織

いまから22年前、銀座もとじの店主 泉二弘明は、「伝統工芸展」で草木染織家 山岸幸一さんの作品を初めて目にし、それまでに見たことのないようなふわりとした風合いと、あまりの色の美しさに驚嘆し、いったいどんな人がこのような作品を織ったのか、どうしても作り手に会いたくて、山岸幸一さんが工房を構える山形県米沢市まで足を運びました。

「40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織」
期 間 : 2017年2月24日(金)〜26日(日)
場 所 : 銀座もとじ 和織、男のきもの

【ぎゃらりートーク会】 各日受付中
2/25(土)、26(日) 10:00〜
詳細はこちらから>>

山岸さんの「志」を知るほどに・・・

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織

山形県米沢市まで足を運んだ店主 泉二。しかし、すぐには山岸さんご本人にお話を聞き入れてもらえる機会のないまま、何度も何度も足を運び続けました。

理想の布を織るために必要な、太陽と水と風の恵みを求めて、山岸さんが雪深い赤崩の地に移住したのは、1975年。その地に、「赤崩草木染研究所」を設立しました。

春から夏には、草木染の染料となる紅花を自ら育てて染料となる「紅花餅」を作り、また糸へのこだわりを求めては、蚕から育てる山岸さんのものづくりに向かうゆるぎのない信念に、店主 泉二は深く共鳴し、心から山岸さんに惚れ込んでいきました。

「自然以外に何もない」、というこの場所に、29歳という若い時代にすべてを捨てて移り住んだ山岸さん。実際に移り住んでからは、慣れない自然の厳しさに直面し、工房が何度も床上浸水になるなど、思いもよらぬ苦労の連続でした。赤崩の厳しい自然にようやく慣れるまでに10年はかかったそうです。

山岸さんについて店主 泉二は、“まるで仙人のようだと思った”、といいます。理想のものづくりのために昼夜も寒暑も問わずに自然に寄り添いながら、研鑽を積み重ねつづける山岸さんの志を知るほどに、どうしてもこの人の作品を銀座もとじのお客様にご紹介したい、と強く願い、その情熱は消えることはありませんでした。

山岸さんの工房に通い続けること5年。ようやく店主 泉二の思いは山岸さんに届き、2002年、晴れて銀座もとじで山岸さんの展示会を開催することが叶ったのです。

「機械織り」と「手織り」の違いがはっきりとわかったから自然と手仕事に移った

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織

1946年、米沢市に生まれた山岸さんは、紡織関係の高校を出たあと、袴などを中心に織る機屋を営んでいた家業に従事し、自動織機によるものづくりを行っていました。

いつしか、人間が着るものをこのような無機質な機械で織っていていいのか、という物足りなさを感じ始めていた折、茶の間で聞いた「昔はみんな、手で織っていた」という言葉をきっかけに、昔の曾祖父の機を引き出してきて昼は仕事の機械織り、夜は手織りをする、という日々を過ごすことになります。

「織りあがったときの喜びがすごく大きかったんです。手織りと機械織り、同じ原料、同じ設計でやってみても、明らかに違うことがわかりました。『なんだこれは!』と驚きましたね。機械織りのものはどっしりと重いのですが、手織りは押してもその指のあとが『ぷっと上がって軽い』んです。」

「機械織り」と「手織り」の違いをはっきりとわかってからは、ひたすらに本物のものづくりを希求し、“素材”を生かして織ることのできる手仕事に自然と移っていきました。そして、米沢の最上川源流地域に移住し、最上川の最も澄んだ水が工房内を流れる仕事場で、植物染料の染と、その染糸による織物を探求していったのです。

40年という月日の中で、赤崩草木染研究所に訪れた大きな変化

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織

山岸さんは、真冬、水が澄み、空気中の雑菌も少ない寒冷期の夜半から早朝にかけて染めを行います。そして、3月半ば頃までにもう一度染めた糸を今度は1年寝かせて色を落ち着かせます。翌年また同じ糸を真冬に染め、また1年寝かせては翌冬に染めることを最低3年は繰り替えします。それにより糸がふっくらとたっぷりの空気を含み、紅色にしっとりと深みが出た糸になって、初めて機にかかります。染料を作るための紅花の栽培や花摘みの工程もあります。山岸さんのものづくりは、人間界の都合を捨てて、自然に歩み寄った暮らしの中から生まれます。

この度、銀座もとじで開催される個展は、山岸さんが赤崩に工房を構えてから、40周年を記念した、銀座もとじでの記念展です。常に自分の信じる道を歩み続けてこられた山岸さん、そして、紛うことなき本物の作品を生み出し続ける山岸さんを信じ、銀座もとじのお客様にお届けし続けてきた店主 泉二。山岸さんとの出会いによって、本物だけをお客様にお届けし続けたい、という店主 泉二の思いは「信念」に変わり、それは今の銀座もとじの原点となっています。

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織

そして、40年という月日の中で、山岸さんの「赤崩草木染研究所」には大きな変化が訪れました。

29歳で機屋を営んでいた実家を出て移住し、まだ誰にも認められることのなかった時代にも、ただひたすら、自然の声に耳を傾け、自然の表情をつぶさに見つめ、自然の力をかりながら、自然の素材で“きもの”をつくることを続けてきた山岸さん。

長きに渡る、孤独な戦いの日々を送ってきた山岸さんの工房には、現在、にぎやかな大家族の声が響きます。奥さんの美喜恵さん、そして山岸さんと同じく草木染作家となられたご子息の大典さん、長女の久子さん、大介さんの奥さんの幹子さんも糸作りを手伝うなど、家族総出でものづくりに携わられています。そして、大典さん、久子さんには、二人ずつ息子さんがいて、山岸さんにとっての4人のお孫さんとともに、あたたかな大家族のにぎやかな中で心の支えがあり迎えられた、記念すべき40周年です。

40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織

そんな山岸さんのものづくりは、生き生きとしたエネルギーに満ち溢れ、輝きをさらに増しています。“志を織る”山岸幸一さんのものづくりの軌跡に、ぜひこの度の銀座もとじでの記念展でご紹介する作品を通して触れていただければ幸いです。

「40周年記念 志を織る 山岸幸一の紬織」
期 間 : 2017年2月24日(金)〜26日(日)
場 所 : 銀座もとじ 和織、男のきもの

【ぎゃらりートーク会】 各日受付中
2/25(土)、26(日) 10:00〜

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