久米島紬協同組合 指導員 桃原禎子さん / 泉二の一口対談


第17回:久米島紬協同組合 指導員 桃原禎子さん

<久米島紬とは>

島で採取される植物から取った染料と泥によって染め上げられた糸で作る沖縄の伝統的な織物。
布のしなやかさと艶も特徴で、これは手紡ぎした糸を手織し、砧打ちで仕上げると言う昔ながらの手法が受け継がれていることによる。図案作成から糸紡ぎ、染料となる植物の採取、染め、織、仕上げまでの全工程を1人が一貫して行っているのが最大の特徴。1人で担う手仕事だからこそその心と技が色と柄に表れ、味わい深さの源となっている。
日本の紬織の故郷といわれ、平成16年秋には重要無形文化財に指定された。

久米島にて

久米島の青い海をバッグに作り手のみなさんと

泉二:こんにちは!また故郷を通過して久米島に来ちゃいました。 はるばる来るのは、桃原さん達に逢いたいからですよ。

桃原:またまた泉二さんたら!いつも上手なんだから・・・って言いながら私達 6 人も泉二さんが来るって聞くと楽しみで楽しみでみんなウキウキ待っているんですよ。

今日なんて一仕事終えて自宅にお風呂に入りに帰っている人だって居るんだから。メイク直して出直してくるんですって。(笑)

泉二:いやあああ・・・そんな風に言っていただくとなんて言っていいか。歓迎してもらえるのは凄く嬉しいですね

桃原:あははは(笑)。今日は泉二さんは何を着てくるかって言うことも話題になるんですよ。

泉二:え??本当に・・そりゃこれからもっと気を付けて着てこなくちゃ。(笑)

桃原:そう言えば今年7月には「男のきもの」のMOOK本が出たんですってね。なんかDVDも付いているって聞きましたけど。 あれ??私達にプレゼントは??

泉二:ごめん。ごめん。ついつい会いたさが募って持ってくるの忘れちゃった。送らせますね。

桃原:はい!6名分忘れないでくださいね(笑)

9月の展示会に向けて

泉二:今年の秋にもまた「セントラル美術館」※1で展示会がありますね。 久米島紬は重要無形文化財に指定されてから初めての展示会になるけど、どんな作品が集まりますか?

桃原:うふふふ・・・秘密です。なんて嘘ですよ。
あとでお見せしますが、まだまだ作成中なのでもう一点ぐらいずつは作りますよ。なんせ今年もみんな頑張っていますからね。「重要無形文化財に指定されたら質が落ちた」なんて言われたら大変だし。それに安住していたらいけないと思うので、今日集まった6人もそれぞれに一工夫もふた工夫も考えて自分達の代表作と言われるものを作ろうとしていますよ。
9月28日からの東京での展示会には絶対に「力作」をもって上京しますから、泉二さんも応援してくださいね。

泉二:勿論!絶対にするよ。うちのスタッフも皆応援に駆けつける予定でいるし。
それにしても「重要無形文化財に胡坐をかかない」って本当に素晴らしいね。それでこそ久米島紬だと思う!!だから進歩し続けていけるんだよね。だから久米島は何時来ても勢いがあるし活気がある。だからいそいそと足が向くんだよねえ。

(ここで新作品を抱えて6人が勢ぞろい・・・)

うわ!!!これ??凄いなあああ!!!!なかなかいいじゃないですかあ。
みんな貰って帰りたいくらいだなああ。いつもこの6人の作品は素晴らしいよね。感性が豊かで皆それぞれの得意分野をちゃんと打ち出している。それにとってもみなさん活き活きしているもんね。それが作品にもちゃんと反映されている。
織は人柄が出るって言うけど、久米島紬はいつも「新しい何か」を与えてくれるんだよね。だから余計に久米島に来ると僕も元気を貰うんですよ。みんな仲が良いよね。

「ユイ」の精神が生きている

桃原:それはね・・やっぱり「ユイマール」の「ユイ」の精神、つまり「協働」という気持ちが生きているからじゃないでしょうか。久米島も辛い時期はあったし、沖縄の織物は皆、絶滅しそうな時期があった。でも復興できた。それは「ユイ」の精神があったからだと思うんです。今でも久米島紬の製作工程は各自が全部1人でやるから、誰とも接触を持たずに作り上げることも出来るんです。でも・・だからかな・・あえてそれはしない。余計に「みんなで協力する姿」は忘れないようにしている。

泉二:良い話だね。だから久米島は勢いがあるんだよね。お互いが協力し合いながら一緒にすることで感性を刺激しあうことも出来る。生きているね。

桃原:ありがとうございます。(笑) 明日は泥染めの現場を取材するんですよね。私達みな集まると一生懸命になるから回りが見えなくなる。泥が跳ねない場所に居てくださいね。

泉二:はい。気をつけます。泥染めはどのくらい時間を掛けるの?

桃原:ほぼ一日がかりですね。泥染めは重労働なのでみんなで協力して一気に行います。山の池から泥を取ってきて「泥染めする人!!!」ってみんなで声を掛け合って一日を掛けて手分けして染めていくんです。最後には川に持って行って、みんなでざぶざぶ。すべての糸をさっぱりと洗い流しますから本当に丸々一日掛かるんですよ。

みんなでざぶざぶ
~ 泥染め見学後 ~

泉二:いやああ・・・・本当に楽しそうだった。にぎやかだったねえ。重労働なのにみな苦にしてない感じだね。かしましいくらい会話や笑い声があって。ついつい首を突っ込んでしまいたくなる。泥はねなんて気にしなくなっちゃう。楽しそうで楽しそうで。本当に充実した時間を過ごしていますね。

桃原:あはははは・・・結構辛いんですけどね。でもみんなが「ユイ」の精神で協力し合うから辛いなんて思わないかな。お茶飲み話しや世間話しながらやっているけど、でも目は真剣に糸に注がれているんですよ。

泉二:それは良く分かります。絶対に気を抜いていないものね。

桃原:そうですね。気を張り詰めてやっているわけではないけど、適当に緊張とゆるみを調整して進めています。

泉二:それにしても久米島の泥染めの黒はまた独特の色と艶で素晴らしいですね。奄美大島の大島紬の泥染めとはまたちょっと違って趣がある。

見事な泥染め久米島紬 絵羽仕立て

桃原:そうですか!そう言っていただくと嬉しいです。産地独特の気風みたいなのはありますよね。

泉二:これから機織が始まるんですね。

桃原:そうです。ゴールが見えてきたって言う感じですね。織り上がったらまた「ユイ」の精神で砧打ちまで進みます。

泉二:「ユイ」は久米島紬の命みたいなものですね。

桃原:はい!これから秋までみんなで全力疾走して頑張ります。是非東京の皆様にも支持していただける久米島紬を作っていきますので宜しくお願いします。また泉二さんのところで以前にしていただいた「意見交換会」をいつか企画してくださいね。

泉二:はい!是非チャンスを見て企画します。産地が元気に成らなかったら私達の仕事はありませんからね。『作り手の皆さんが機を下りてしまったら二度と機には戻らない』と言うことは、痛いほど分かっていますので絶対に作り続けていただく為にも私達が出来ることは何でもしていきたいと思っています。これからも是非「ユイ」の精神で頑張ってくださいね。


<久米島紬と紅型展>
  • 期日:9月28日(水)~10月2日(日)
  • 時間:午前10時から午後6時まで ※最終日は、午後5時まで
  • 会場:東京セントラル美術館(メルサ2丁目店ビル5階)
  • 主催:久米島紬事業協同組合

  • 詳しくは、こちら 「催事情報 久米島紬 紅型展」を、ご覧ください。


[対談日:2005/09/10 筆:荒井博子]